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更新December 31(Thu), 2009

卒業式と貸衣装の袴のレンタル

 最近の大学・短大などの卒業式では、ほとんどの女子学生は貸衣装屋さんからレンタルしたはかま姿で出席しています。このときには、袴に草履ばきの人もいれば、少し短めの袴姿でブーツといった姿の大正ロマンのハイカラさんを思わせるレンタルの袴姿など、貸衣装の袴を着付けるスタイルも様々です。この卒業式用として女子大生が穿く貸衣装のレンタルの袴は、一般的に普及している馬乗袴ではなく、女性専用の行灯袴となっています。また、袴に合わせて上に着る振袖は、中振袖やニ尺振袖など個人の好みによって合わせています。こうした卒業式に着る貸衣装のレンタルの袴は、大学時代の最後のお洒落ということもあって、ずいぶん早くから袴の貸衣装のレンタルショップで品定めをする女子大生もたくさんいます。また、男性の場合も貸衣装のレンタルの袴姿で卒業式に出席する学生は少ないのですが何人かは見ることができます。この場合は、女性の行灯袴とは違って、紋付と男袴の馬乗袴を貸衣装屋からレンタルすることになります。

かつての卒業式と袴の貸衣装のレンタルと振袖購入

 振り返ってみると、かつての大学・短大などの最後の晴れの舞台ともいえる卒業式における女子大生の服装といえば、振袖姿以外は見ることができませんでした。若い女性にとって振袖の着物は、成人式で初めて着用して、次に卒業式、そして社会人となってからは友人の結婚式など、一生のうちでも何度か着る機会があるということで、現在の主流となった貸衣装のレンタルで済ますだけではなく、振袖の着物を購入する人もたくさんいました。

卒業式と袴を着る機会と貸衣装のレンタル

 現在の卒業式では、貸衣装のレンタルの袴姿が主流になっていますが、袴というものは、大学等の卒業式以外で着用する機会はないため、ほとんどの女子学生が貸衣装のレンタルですましています。仮に、卒業後、学校の教師になった場合には、毎年、教え子の卒業式に列席するために袴を着る機会もありますが、それ以外の多くの女性にとっては大学等の卒業式以外には袴を着る機会がないからです。

卒業式の袴は貸衣装のレンタルが主流

 こうしたことから、女子学生にとって卒業式用の袴は貸衣装のレンタルが主流になっており、早い人では1年ほど前から貸衣装からレンタルする好みの袴を予約しています。袴のレンタルでの貸し出しは着物屋さんや貸衣装店が希望によって着付けやヘヤーアレンジ、メイクを含めて行っています。一部の袴の貸衣装のレンタルショップによっては、卒業記念の写真を当日と同じレンタルの袴姿で前撮りを格安で行ってくれるところもあり、女子大生にとって何かと準備で忙しい卒業式の当日がゆっくりとできるので貸衣装のレンタルは人気なようです。

卒業式と貸衣装のレンタルの袴の記念写真

 卒業記念として撮影する貸衣装のレンタルの袴姿の記念写真も、かつてはプロ用のスチールカメラで数カットしか撮影されないため、何日かたってできあがってきた記念写真を見て、がっかりとした人も多いものでした。しかし、最近では、写真スタジオの卒業記念の写真撮影の機材としても一眼レフのデジカメが使用されることが増えてきたため、数多くの貸衣装の袴姿のカットを撮ってもらうことができ、その中から一番可愛いレンタルの袴姿のお気に入りを選ぶことができるようになってきました。

卒業式の貸衣装のレンタルの袴とブーツ

 卒業式は3月に行われる大学がほとんどですが、この時期ではまだまだ卒業式の会場となる体育館の中は冷え込む場合があります。こうした場合には、貸衣装のレンタルの袴に草履よりもブーツ姿といったスタイルの方が足元からの寒さをしのぐことができます。また、卒業式の当日が万が一、雨天だった場合にも、草履に足袋だと濡れてしまって寒さが身にしみますが、ブーツだと雨もしのぐことができるので、卒業式の袴を貸衣装屋からレンタルするのであれば、併せてブーツもレンタルする方がお勧めです。

 卒業式用に貸衣装屋からレンタルしたし、後は、当日、袴の着付けに行って、ヘアーも整えてもらったら完璧と思っていても、卒業式当日に向けては、女の子にとっていろいろと準備しておく必要があります。

卒業式前日の貸衣装のレンタルの袴の着付けの準備

 貸衣装屋さんでレンタルできるものと、持参するものを事前にもらっている書類をチェックしてまとめておきましょう。通常、袴の着付けには、次のようなものが必要になります。これらについても、貸衣装屋でレンタルすることも可能です。

着物・長襦袢※要半衿・卒業袴・半巾帯・重ね襟・草履orブーツ・巾着orバック・髪飾り・衿芯・腰ひも3本・伊達締め2本・肌襦袢・裾よけ・足袋※ブーツの場合は不要・補正用タオル5枚

卒業式前日の小物のレンタル袴以外の準備

・謝恩会用衣装(パンスト・パンプスも忘れずに)
・デジカメ(充電を忘れずに)
・ケータイ充電器(夕方に電池切れにならないように)
・メイク道具(式の涙の後の必需品)
・ヘアピン(せっかくのセットが崩れてきたら必需品です)
・バンドエイド(慣れない草履やブーツで靴擦れになる可能性大)
・ハンカチandティッシュ(当然必要ですね)
・小さな手鏡(巾着には大きなものは入りません)
・小さなハサミ(プリクラを撮るなら、ハサミ順番を待たないための必需品)
・使い捨てカイロ(卒業式は寒い日が多いものです)
・草履なら足袋の予備(雨が降ったら大変です)
・筆記用具(結構必要なケースがあります)
・マニキュアを塗る(当日は朝から忙しいので焦ります)
・番傘(雨の日に大正ロマンの袴スタイルで決めるのなら、番傘でしょう。)

卒業式当日の失敗談

・卒業式が雨で、草履に足袋姿の私は、式の間、寒くて寒くて震えていました。(予備の足袋と使い捨てカイロを準備)
・卒業式が雨で、貸衣装のレンタルの袴で大正ロマン風に決めていたのに、傘がブランド物の派手なものしかなかった。(番傘を準備しておけば万全)
・学校に向かうとき、階段で何度も貸衣装のレンタルの袴のすそを踏みつけて転びそうになった。(荷物は片手で持って、もう一方の手で袴をつまみ上げましょう)
・背の低い私は、貸衣装のレンタルの袴に埋もれているような感じだった。(少し高めのヒールのブーツを履けばOK)
・袴を貸衣装屋にレンタル予約するのが遅くなってしまい、気付いたときには可愛い袴がなくなっていた。(何事も早めに)
・謝恩会で飲みすぎて記憶がなくなった。(卒業式当日は、朝早くから夜遅くまで忙しいもの。前日の十分な睡眠と飲みすぎに注意)
・貸衣装のレンタルの袴から洋服に着替えて謝恩会に行ったけど、髪型を直すのに苦労した。(洋装にも合うような髪型をリクエスト)

男性用の貸衣装のレンタルの袴

 最近では貸衣装のレンタルでよくはかれている袴ですが、元々、はかまとは、日本国内において古来から伝わる伝統的な服装の一つです。現代においても、こうした伝統的な袴の文化は綿々と受けつがれており、男性の紋付羽織袴姿は今なお正装となっていろ、結婚式や成人式、卒業式などで着用されています。この男性の正装で用いられている袴は馬乗袴です。馬乗袴とは、元々馬に乗りやすいように仕立てられた男袴で、襠、相引を高く仕立て、現在のズボンやキュロットスカートのように2つに分かれている形となっている袴です。男袴は、既婚・未婚・慶弔など状態や環境に関わらず着用することができ、紋付羽織と合わせると正装・礼装に位置します。馬乗袴は、裾下より30cmぐらいがズボン状になっている襠高袴(まちだかはかま) と呼ばれることもあります。男袴は、一見、現在の卒業式などで女性が貸衣装のレンタルで穿く袴と似てはいますが、まったく構造が違う別の種類の袴です。

女性用の貸衣装のレンタルの袴

 女性が袴を穿く習慣としては、かつて平安時代の階級の高い女性たちの間で着用されていましたが、鎌倉時代には衰退してしまい喪中以外では、その姿を見ることはできなくなりました。しかし、明治時代になると、付帯をする女性たちや女学校の開校と共に袴姿は一般的なものになりました。当初は、女学校に通う女性たちは、着物を着用していたのですが、着物のすその乱れが気になり、袴の登場と共にそれを気にしなくてもよいことで一気に広まりました。この当時、明治から大正にかけて女学校に通う女性とはいえば、裕福で限られた階級の女性でもありました。女性の袴姿は、大正ロマンの象徴として、ハイカラさんのイメージで捉えられていますが、元々は当時の女学校の教官が着用していたものです。

卒業式と女性用の貸衣装のレンタルの袴

 現在でも卒業式で女性が貸衣装のレンタルで穿いている袴は、明治18年に華族女学校の校長であった下田歌子氏が考案したもので、喪中の未婚者の色である濃い色から海老茶色を袴に採用しました。袴姿でも有名な宝塚歌劇団が創設されたのもこうした時代の大正時代で、黒紋付きに緑の袴が正装で、現在でも卒業式はもちろんのことセレモニーの際には全員が袴姿で装います。一方、大学や短大の卒業式では、現在の女学生は袴を貸衣装屋でレンタルするのが主流になっていますが、ほんの何十年前までは、卒業式の女性の服装といえば振袖が主流でした。時代の流れと共に、一番お洒落を楽しむ20代の女性にとっては、流行や廃れがあるようです。

七五三と着袴の儀

 日本においては、現在においても11月に子供の健やかな成長を願って七五三のお宮参りをする風習があります。この七五三の歴史は古いのですが、現在は15日を式日としていますが、これは室町時代において武家の間で定まった日取りです。実際には、15日に限ることなく、11月の穏やかな気候の日や両親の予定などに合わせて神社にお参りに出かける人が多くなっています。

 現在の七五三の日取りは室町時代ですが、元になった行事としては、平安時代の公家社会の風習にありました。その起源は各説がありますが、一つの行事ではなく、「髪置き」・「深曽木」・「着」・「帯解き」といった行事が合わさって、現在の行事につながったと考えられています。着袴とは生まれてきた子供が初めて袴を着ける儀式で、「ちゃっこ」と読みます。公家の家々では平安時代の中頃には既に着袴の儀式が行われていたようです。当時では、着袴の儀で袴を着る子供の年齢は3歳から8歳と一定していなかったのですが、後になってから5歳から7歳ごろになっていきました。平安時代の着袴の儀式の席では、介添えの者が子供の前に袴を捌いて置き、親が子供を支えて両足を一度に袴の中に踏み込ませ、袴の腰を結んであげます。さらに、二人の大人が装束を着付けてあげるといった流れになっていました。着袴の儀では、男児には父親が、女児には母親が中心となって袴の装束を着付けてあげるのが普通でした。こうした平安時代の上流階級の服装では、男女ともに袴を穿かないことは考えられませんでした。現代まで続く七五三の源ともいえる「着袴の儀」は、「幼児から少年・少女へ」という人生の初めての節目を象徴的に表す儀式でした。

 卒業式でレンタルして穿くに似た袴の一つとして、剣道の袴があります。剣道で相手と戦う時には袴を穿いて勝負をします。この袴は、古くから男袴といわれている長いキュロットスカートのように股が割れている馬乗袴といわれ、元々は馬に乗るために考え出された仕様の袴です。剣道の袴には通常、その素材として木綿の生地が使われており、その色は藍で染められています。居合や薙刀のスタイルでは袴下に帯を締めますが剣道では帯を締めることはありません。この袴は、女子学生が卒業式で穿いているレンタルの袴とは作りも長さも違っています。

 そもそも、剣道とは日本古来から伝わる武道であり、武士が剣を使った戦いを通じて、剣の理法を自得するために歩む道を指しています。剣道を学ぶということは、この剣の理法を学ぶことを意味します。剣道では、剣の理法の奥にある武士の精神(魂)を学ぶことが重要で、剣の操法を厳しい稽古を通じて学ぶことは、そのための一つの手段と見られています。剣道は、単に剣捌きがうまいだけでなく、剣道の目的が「人間形成の道」といわれている理由です。

 最近では、剣道を習っている女性も増えており、その姿は白の胴着に白の袴を穿いているのを多く見かけます。また、剣道の試合や昇段試験の際には着用することはできませんが、道場によっては練習の時に、ピンク×紺とか、水色×紺とか、白×黒の組み合わせでカラフルな袴も見かけます。剣道は段位や級によって袴などの色は定められていませんので、剣道を始めたばかりのものであっても、好みの色の袴を穿くことができますが、男性の場合には、胴着は紺色で、袴も紺色の組み合わせが普通になっています。

 卒業式でレンタルして穿くに似た袴の一つとして、合気道の袴があります。合気道では足を使って動くので、裾が分かれている馬乗を男女ともに穿いています。しかし、馬乗袴といっても合気道の袴と剣道の袴には少し違っており、これは、合気道の動きには、剣道と違って円の動きや座り技もあるため、その点を考えて、技を繰り出すときに動きやすいように、剣道の袴よりも裾口が狭めに作られた袴となっています。また、合気道は袴の下に柔道着の上下を身に付けて帯を結ぶところが剣道とは異なっています。剣道の袴の下は下着で、帯も結ぶことはありません。なお、この袴は、女子学生が卒業式で穿くレンタルの袴とも別物です。卒業式用の袴は、スカートのようになった行灯袴となっています。

 また、合気道においては、男性の有段者は黒帯を締め、袴を付けることになっています。女性は三級から袴を着けます。合気道は有段者でなければ袴を付けることができませんが、剣道では始めたばかりでも袴を付けることができるのも違いとなっています。合気道で袴を付けることにはそれなりの訳があります。相手と戦う場合に足の動きが丸見えであると、自分がどんな攻撃をするのか悟られてしまいますが、袴を穿くと踝から下が見えにくくなり、袴には相手に足の動きを読み取られないようにする意味があります。また、合気道では、室内での戦いを想定しての座り技がありますが、その際、袴には畳の上での移動、膝のすべりをスムーズにさせる働きもあります。

 合気道の袴の構造として、袴の腰に当たる台形の部分を腰板・袴腰と呼んでいます。これは、背筋をしっかりと伸ばし、正しい姿勢を保つ役割を果たしています。袴の袴腰・腰板は、普通の袴では桐の板や厚紙が入っていますが、昔は桐を使っていたのですが、皮を使うようになりました。現在では厚紙をゴム板で挟んだ袴腰・腰板が使われています。

 現在でもとして残っているものの一つに行灯袴(あんどんはかま)があります。卒業式でレンタルして穿く袴は、この行灯袴です。行灯袴とは、袴が筒状の輪になった襠と股のない袴のことで、現代で言うといわゆるロングスカートのようになった袴のことです。行灯袴は、かつて江戸時代において、馬に乗ることのできない下級武士や足軽が用いた袴で、行燈のようにはかまが筒状になっていることからこの名前が付いています。この行灯袴は、明治時代以後になってから、日本人の服装が洋服に変わるまでの長い間、男女を問わず学生や書生などに愛用された袴です。現代になってからは、女子が用いる袴がすべてこの行燈袴であることから女袴(おんなばかま)とも呼ばれています。

 行灯袴の始まりは、袴というものがそれまでは武士だけしか穿くことができないものでしたが、それが広まって町人の間でも穿かれることの多くなった江戸時代後期に発案されたものでした。当時においては、行灯袴は略式の服装とされていましたが、現在では馬乗袴と同じく礼装にも用いられる袴となっています。現在、大学や短大の卒業式などで振袖と併せて女学生が着用している袴は、この行灯袴となっています。最近の卒業式では、行灯袴に草履ではなくブーツを合わせている女学生を多く見かけるようになりました。これは、ノスタルジックな大正ロマン時代の女学生をイメージして袴を穿いているようです。現在の大学、短大、専門学校の卒業式においては、かつての主流だった振袖の着物姿よりも、むしろレンタルの行灯袴姿の女学生がほとんどを占めています。女子学生が多い卒業式に行ってみると、袴姿ばかりで、時代をタイムスリップしたような気にさえなります。

 卒業式でレンタルして穿くに似た袴の一つとして、舞袴(まいはかま) というものがあります。舞袴とは、200を超える流派があるといわれている日本舞踊や剣舞、民謡、浪曲などの踊りの場面で使われる袴のことで、別名として踊り袴(おどりはかま)とも呼ばれているものです。舞袴は、例えば、能狂言の仕舞、舞囃子などを舞うときに使用されている仕舞袴よりも普通の馬乗袴に近い外見をしています。しかし、舞袴が一般的な馬乗袴の形が基本にはなっているとはいえ、踊りの立居の時に袴に皺や襞ができないような工夫がされているのが特徴ともいえます。舞袴は、踊りの際に動き易いように袴の脇開きが少し広い目に仕立ててあるのも通常の馬乗袴との違いにもなっています。なお、舞袴は見た目にもとても美しい袴ではありますが、大学の卒業式で女学生が穿いているレンタルの袴とは全く別物の袴です。

 舞袴の種類としては数が多く、例えば、無地袴を始め四菱地に華紋袴、花菱袴、金襴ぼかし袴、縞袴など様々な種類の袴があります。舞袴の生地を一つとっても正絹からウール、合成繊維まで様々なものがあります。こうした中から、演目や個人の好みや趣味に応じて、それにふさわしい舞袴を選ぶことになります。踊りのお稽古用にと袴の古着を購入する人もたくさんいます。その際には、茶袴ではなく舞袴・踊り袴を購入すべきです。というのも、茶袴は、立ち座りが多いため膝のあたりが擦れて傷んでいる袴が多いのに比べて、舞袴・踊り袴には傷みがほとんどなく質がよい袴が多いからです。また、舞袴を締める時には、男性は腰に、女性はウエストに結ぶため性別によって適応身長が異なるので、袴の購入時には注意が必要です。

 卒業式でレンタルして穿くに似た袴の一つとして、仕舞袴(しまいはかま) というものがあります。仕舞袴とは、主に能狂言において使用されているかなり特殊な形をした袴のことです。仕舞袴は、仕舞、舞囃子などを舞う時に使われることが多いためにこの名前が付けられています。この仕舞袴のつくりとしては、袴の中でも最も一般的な形の馬乗袴の形が基本にはなっていますが、袴の襠が低く仕立てられており、さらには、袴の中仕切りを高くすることによって舞のときでもとても動きやすい構造の袴になっているのが特徴といえます。また、袴の布の合せにも特別な仕立て方法が用いられ、仕舞袴の一番の特徴は、一の襞と二の襞の間が綴じられていることで、立ったときに袴に皺ができないように工夫され、さらには、袴の腰板の材質が木製となっています。この袴の腰板には、桐の木が多く使われています。

 演能の本番の際には、囃子方、後見、地謡などは紋付に仕舞袴を穿くことが多く、裃を着用する場合にも袴の部分は仕舞袴の仕立てとすることが多く見ることができます。仕舞袴の仕様としては、各流儀を通じて仕立て方に大きな違いはありませんが、唯一、観世流梅若家系統だけは、仕舞袴の襞を縫い合わせない袴を使用しています。

 なお、一般の馬乗袴や日本舞踊で用いられる舞袴を仕舞袴と呼ぶことがありますが、ただ単にそう呼ばれているだけで、いずれも能楽の仕舞袴とは別な作りの袴です。また、仕舞袴は、大学の卒業式で女学生が穿くレンタルの袴とは全く別物の袴です。

 卒業式でレンタルして穿くに似た袴の一つとして、捻襠袴(ねじまちはかま)というものがあります。捻襠袴は、馬乗袴の一種には違いありませんが、袴のタックをとって仕立てる馬乗り袴と違って、捻襠袴はギャザーを寄せて仕立てるという少々違いがあります。また、捻襠袴には、その腰ひもに特徴があり、通常の袴は後ろ紐と前紐がありますが、捻襠袴では左脇の部分が輪になって後ろ紐と前紐がつながっているという大きな違いがあります。こうしたことから捻襠袴は、十二単などの宮中袴に似たつくりといえますが、宮中袴と違うのは袴の襞が裾までいかず、袴の帯の結び目が右横にくるのが特徴といえます。

 通常、装束用語において捻襠袴は女性の神職が穿く袴のことを指します。女性神主の通常の装束姿としての捻襠袴の襞は斜めになっていますが、差袴や巫女袴と同じく、前後4つの襞で構成されているのが特徴です。捻襠袴の色は、男性の神職と同じく上の級から紋付白、紋付紫、紫、浅葱の順になります。白無地の捻襠袴は、学生、助勤神職、実習生が履いています。また、緋袴か濃い色の袴でない女性は巫女さんではありません。

 また、女性神職は、男性神職と同じ差袴を穿くことはあっても、行灯袴を穿くことは決してありません。行灯袴は女性専用の袴ともいえるものなので、女性にとってはとても便利な袴なのですが、これは女性神職の職務の大半が神前奉仕なので、トイレの便宜よりも足裁きの便宜を優先するためです。なお、捻襠袴も、大学の卒業式で女学生が穿いているレンタルの袴とは、同じ「袴」という名前が付いて、詳しくない人には見た目もあまり違わないように見えますが、全く別物の袴です。


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